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スイスアルプス堪能登山電車の旅




  現在スイスへは、スイスインターナショナル航空(スターアライアンス)を利用すれば直行できます。JALやANAを使う場合はヨーロッパ内ドイツ、イギリス、フィンランド或いはフランスで乗換えとなります。スイスインタナショナル航空は経営破たんしたスイス航空を引き継ぎルフトハンザの資本注入で誕生した航空会社です。
  通常日本からスイスへ行く場合、最大都市のチューリッヒ(Zurich)かフランス国境に近いジュネーブ(Geneve)への到着となるでしょう。ヨーロッパ内の乗り継ぎがドイツのフランクフルト、ミュンヘン又はフランスのパリなどの場合は列車での移動もいい選択肢の一つです。当欄では最もポピュラーなチュリッヒ発で旅行を進めていきます。

 チューリッヒ中央駅は行止り式の大きなターミナルで全ての列車は同じ方向に出発していきます。1日3,000本近い列車がドイツ、フランス、オーストリア、イタリアなどへの国際列車も含めて発着しています。さあ早起きしてなるべく早い列車でスイス東部のクール(Chur)へ向かいます。クールは東部きっての都会的な街で国際高級保養地サンモリッツ方面と氷河特急への乗換駅のひとつです。本日は列車自体とその車窓風景などが世界遺産に指定されたベルニナ線方面に向かいます。


ベルニナアルプス
 チューリッヒを出た列車はすぐにチューリッヒ湖畔を走ります。およそ1時間ごとに発車しているインターシティ(IC)に乗ると1時間15分ほどでクールに到着します(インターレッギオIRだと1時間半)。乗り換えるサンモリッツ行きは1時間おきに発車します。しばらくは後日乗る氷河特急と同じ線路を走ります。スイスらしい小さな村をいくつか越し有名なランドバッサー橋などを通りフィルズール(Filsur)でダヴォス方面と別れサンモリッツまでの90kmを2時間かけて走ります。屋根まで窓があるパノラマワーゲンの車両は景色を見るにはもってこいでしかも紫外線カットのガラスが使われています。日程がたっぷりある方はサンモリッツで下車し宿に荷を置きこの素敵な街を散策しましょう。ベルニナ方面のエクスカーションは明日ゆっくりします。時間にゆとりの無い場合はクールからのベルニナ特急にそのまま乗車し(サンモリッツの手前サメダンSamedanで車両が切り離されるので注意)ティラノ(Tirano)に向かいます。ティラノは国境を越えたイタリアの街です。ティラノまで乗車するとクールからおよそ4時間掛かります。また、ティラノの1時間ほど手前アルプギュルム(AlpGrum)で下車し付近を散策し戻ってくるという手もあります。





  サンモリッツを出た列車はポントレジナを過ぎるとどんどん高度を上げて行きベルニナアルプスの中へと入っていきます。黒い湖、白い湖、氷河、ピッツベルニナに代表される4,000m級の山々などをパノラマカーから堪能できます。アルプギュルム駅は駅前でも殺風景で何もありません。上記列車の写真はアルプギュルム駅付近です。
 アルプギュルムを出ると列車は一気に高度を下げていき下がりきったところがポスキアーヴォ駅で駅付近はそれなりの人の気配があります。ここからは山岳というよりは長閑な田舎の中を1時間ほど走りティラノの街の中へ入っていきます。また、このあたりは道路の真ん中を路面電車のように進む区間があります。時刻によっては本日はティラノで泊まるというプランもありますが、サンモリッツまで戻っておいたほうがいいでしょう。


 翌日はゆっくりサンモリッツでくつろぐのはいかがでしょうか。2度にわたり冬季オリンピックが開催された街だけあってそれなりに各種設備が整っておりホテルも高級からエコノミーまで豊富にあります。ショップもコープからブランド店までそろっております。また、町内で散策できるコースも整備されています。とりわけ朝のサンモリッツ湖畔の散策は気持ちがいいです。散策コースには黄色い道標も完備しています。また、列車から見るよりも迫力のある、有名なランドバッサー橋への日帰りもお勧めです。

 

氷河特急
 さて、次は氷河特急に乗りましょう。サンモリッツから乗車すると8時間にわたり同じ列車に乗ることになるのでいくら景色がいいといっても飽きてくることがあります。その懸念がある場合は区間乗車もお勧めです。途中、クールまでの2時間はベルニナ特急と同一路線ですので往路で見損なったところを見直すチャンスがあります。実質クールから先の6時間が氷河特急区間となりますが、新路線に移行後氷河特急の由来となったローヌ氷河はトンネルで通過し見ることが出来ません。むしろ前日のベルニナ線の方が氷河を数回目の当たりに出来ます。

 列車は全車両パノラマカーで天井までガラス張りの窓がある明るい車両で構成されています。冬場は朝9時台の1編成がサンモリッツ始発(夏場は3編成ある)でクール発ブリーク行きが1編成あります。クール発は早いので乗車困難です。全区間乗車する場合は座席の予約が必要です。予約はスイスの何処でも可能です。また、レイルヨーロッパのWEBサイトで日本語で出来ます。

 

 クールを出た列車は逆編成となり後ろ向きに進みます。途中のアンデルマットまで後ろ向きとなります。クールからはきれいな牧歌的な草原が広がるディセンティスにかけて上り勾配が続きます。ディセンティスは小さな駅ですがかつての別々の鉄道会社の交換駅でした。ここで機関車を交換し乗務員も代わっておりました。今では両社は合併し同じ会社の運営となりました。この付近はアルプスの中では女性的な優しい景色が広がり、草原の中に教会の尖塔と修道院なども見られる美しい景色を形成しています。
 列車は更に急勾配を登り、いよいよハイライトのひとつオーバーアルプ峠越えに差し掛かります。標高2033mと当線きっての高所をオーバーアルプ湖のほとりを進みやがてアンデルマット駅に到着します。ここで下車する旅行者が多くいます。下車した旅行者は支線に乗り換えスイス国鉄(SBB)のグシェネン駅に向かいます。SBBはこの駅の300mほど下をトンネルで通過しています。グシェネン駅からはアルトゴルダウを経てチューリッヒやルツェルンへ行くことが出来ます。氷河特急に飽きそうな場合はあらかじめここで下車する計画を立て、SBBでルツェルンへ向かうルートをお勧めします。ルツェルンで1泊し翌日ゴールデンパスルートでベルナーオーバーランドの玄関口インターラーケンから日本人に人気のグリンデルヴァルトかヴェンゲンに向かうのです。そして後日訪れる予定だったアイガー、メンヒ、ユングフラウを先に訪問するというプランがあります。
 アンデルマットから列車は高度をぐんぐん下げてクール以来の大きな街でSBBとの乗換駅ブリーク(Brig)に着きます。ブリークはSBBの主要駅でもありイタリアのミラノ方面やスイスの首都ベルン(Bern)、レマン湖方面のジュネーブを結ぶ幹線上にあります。ここから終点のツェルマット(Zermatt)までの区間は予約なしでも氷河特急に乗車できます。

ツェルマット駅前  駅を背にして左手            駅を背にして右手
   

 ブリークを出た列車はしばらくは平らな線路を国道とローヌ川に沿ってフィスプへと進んでいきます。フィスプまではジュネーブへ向かうSBB線と並行して走ります。上記のアンデルマットで下車しベルナーオーバーランドへ先に行った場合はここで再度当線に乗車することになります。
 ここからいよいよマッターホルンの麓の村ツェルマットを目指します。徐々に高度を上げて行き、ラックレールと急カーブを駆使しながら険しい山間部を走っていきます。やがて広い平坦な街テーシュに到着します。テーシュ駅前には大きな駐車場があり、ガソリン自動車が禁止されているツェルマットへ車で行く旅行者の乗換駅となっています。
 列車は10分ほどで終点ツェルマットに滑り込んで行きます。村の規模に似合わない立派な駅で駅前は賑やかです。ホテルやレストラン(ほとんどがホテル併設)、コープ(スイスの二大スーパーのひとつ)、日本語観光案内所、ラーメン店があり、多くの日本人旅行者が目に付きます。駅前に待機しているタクシーは電気自動車で全てスイス製です。また、馬2頭が牽引する馬車も待っています。村は愛らしく散策の意欲をそそります。早速ホテルにチェックインし荷を置き、村を散策しましょう。駅通り(写真右の道)から教会で左折すると小さな川を渡りますがこの橋の上からはマッタ―ホルンが綺麗に見渡せます。橋を渡った先左手のレストランからはマッターホルンを見ながら食事も出来ます。


朝焼けのマッターホルン(ゴルナーグラートクルムホテルに泊まると部屋から見られます。

ツェルマット
 翌朝はマッターホルンの展望台ゴルナーグラートへ行きます。標高3,000m以上にあるゴルナーグラート駅にはホテルとレストランがありここに宿泊すると朝焼けのマッターホルンを見ることも出来ます。ホテルは2008年に全面改装され綺麗で快適になりました。ツェルマット駅前からゴルナーグラート登山鉄道に乗って一気に3,000m以上のアルプスの真っ只中へと入っていきます。付近にはスキーヤーの憧れの良ゲレンデがいくつもあります。







 夏には麓のツェルマットまでのハイキングコースが何本か整備されております。気軽に体験できるコースとしてはゴルナーグラートのひとつ手前のローテンボーテン駅で電車を降り、更にひと駅手前のリッフェルベルク駅までを歩く標高差250mほどの1時間コースがあります。途中逆さマッターホルンが見られるリッフェル湖を通ります。コース目的地のリッフェルベルク駅にはホテルとレストランもあります。このコースを歩く場合は、一旦終点のゴルナーグラート駅まで行き付近の展望台で360度のパノラマをゆっくり堪能し、駅に隣接のカフェでゆっくりお茶を楽しんだ後に出発することをお勧めします。ツェルマット往きの列車にひと駅のりローテンボーテン駅で下車します。ハイキングコースを歩き、リッフェルベルク駅から再び登山電車に乗り、ツェルマットまで降りてくるというコースがいいでしょう。歩く区間が短いため遅めの出発でも充分楽しめますが登山電車の最終便が早いのでご注意ください。また、夏場以外は積雪のため通れません。



 ツェルマットで時間がある場合はヨーロッパ最高地点の展望台クラインマッターホルン展望台へも是非訪れてください。標高3,883mと富士山よりも高いところへロープウェイで登ることが出来ます。ツェルマット駅前のバーンホフシュトラーセ(駅通り)をひたすら町外れまで歩くと(15分ほど)ロープウェイの駅にたどり着きます。途中人家がなくなり道を間違えたかのかと思えるようなさびしい道ですが取り敢えず進んでください。やがて観光客と近代的な駅があります。ロープウェイは途中フーリ駅とトロッケナーシュテーク駅で乗り換えおよそ30分でクラインマッターホルンへと私たちを運んでくれます。展望台へはここからエレベーターで上がります。ヨーロッパ最高所にある展望台からの景色は周りにさえぎるものがないため多くの山々が目の前に迫ります。ここから見えるマッターホルンはちょっと異様な形をしています。ツエルマットやゴルナーグラートから見るマッターホルンは主に北壁の斜面が男性的に見えていますが、クラインマッターホルンからは南壁のため絶壁感や鋭さの無い形に見えます。
 この付近は真夏でも氷点下の気温のため建物外へ出る場合は防寒の準備が必要です。また、夏スキーも楽しめます。往復のロープウェイの中では多くのスキーヤーと一緒になるでしょう。

シャモニー・モンブラン

 さあ次はヨーロッパ最高峰モンブランへ向かいます。ツェルマットからレーティッシュ鉄道でフィスプまで戻ります。フィスプはベルナーオーバーラントの玄関口インターラーケン方面へ向かうICとの乗換駅でもあります。今はジュネーブ行きのIRに乗ります。およそ40分でマルティニに到着しますのでここでシャモニ方面行きの列車に乗り換えます。



 赤い小さな列車はナローゲージ(線路幅が狭い)でラックレールを駆使してフランスアルプスの中へと入っていきます。やがてスイス・フランス国境付近のVallorcine駅に到着しますがここでシャモニ方面の列車に乗り換えます。以前はこのひと駅手前Chatelard駅が乗換駅でしたが、しばらく続いたバス代行運転後に変更となりました。ここからはフランス国鉄(SNCF)の運営ですがスイスパスも使えます。マルティニからは1時間半ほどです。





 シャモニはかつて冬季オリンピックが開催された街で名曲「白い恋人たち」で有名なフランスのスキーリゾートです。スイスから来た場合、街の雰囲気はさほど違いを感じませんが物価は安く感じます。ここにはSNCFの鉄道のほかモンブランに向かうロープウェイとモンタンベール行きの登山鉄道の駅があります。



 そのひとつモンブランを真近に見ることが出来る展望台エギーユ・デュ・ミディに上がるロープウェイへ乗りましょう。SNCFのシャモニー・モンブラン駅前から左手の道を進み突き当りを右折、案内板に従い左折すると観光客で賑わうロープウェイ乗り場があります。シーズン中はかなり込み合うのでここで待たされることを計算に入れて計画を立ててください。ロープウェイは途中のプラン・デゥ・エギーユで乗り継いで北峰駅まで行きます。北峰駅からはエレベーターに乗り展望台へ上がります。展望台はクラインマッターホルンより僅かに低い標高3,842mのところにあり、正面に真っ白なモンブランが迫ります。辺りはシャモニー針峰群や名峰グランドジョラスなどが聳えその迫力には圧倒されるでしょう。ここも建物の外の展望スペースへ出ると真夏でも氷点下の寒さのため防寒の準備をしていってください。建物内からもある程度の展望はあります。









 シャモニから他方、モンタンベール行きの登山電車に乗り終点で下車すると氷河の中を見学することが出来ます。氷河をくり貫いてトンネル状の探索路があります。駅から徒歩5分ほどのところにはホテルもありその中のレストランでは名物のダークチェリーのホームメイドケーキを堪能できます。
 シャモニの街も日本語案内所があります。オープンは夕方4時からで5月10月11月の全日と水曜日は休みですのでご注意ください。バスターミナル横の観光局の運営です。ホテルはスイスの山岳リゾートより割安です。
シャモニーからはスイスのジュネーブへのバスが出ています。簡単にスイスへ戻る方法のひとつですが夏場とスキシーズン以外は運転本数が減りますのでご注意ください。SNCFを乗り継いで行く方法もありますが乗換えが多い上本数が少ないのでお勧めできません。鉄道でジュネーブへ行く場合はマルティニ経由がおすすめです。バスよりは時間がかかりますがゆったりしています。



 ジュネーブはレマン湖の西端に発達した国内では比較的温暖な街で時計産業が有名なスイス第二の都会です。国際空港や鉄道の大きなターミナルがありスイス各地はもとより世界への玄関口ともなっています。世界各国のレストランがありますのでスイス料理に飽きても大丈夫です。日本料理やすし店はもとよりラーメン店もあります。しかし、物価の高いスイスではチャーシュー麺と餃子のセットにビールをジョッキで頼むと¥5,000ほどの出費となりますのでご注意ください。

ベルナ―オーバーラント
ベルナーオーバーラントへは通常レマン湖に沿ってツェルマットへの乗り換え駅フィスプから北上しますが、ゴールデンパスルートもお勧めです。レマン湖に沿ってニヨン、国際オリンピック連盟の事務所があるロザンヌなどを経て高級保養都市モントルーへと向かいます。モントルーまでは特急ICで55分、IRで1時間10分ほどで着きます。モントルーの街を散策したらツバイジンメン、シュピーツを通りベルナーオーバーラントの中心都市インターラーケンへパノラマ列車に揺られます。このルートはゴールデンパスと呼ばれ黄金のパノラマ列車が運行されております(途中のツバイジンメン乗り換え)。モントルー・ツバイジンメン間約2時間、ツバイジンメン・インターラーケン間約1時間で結んでいます。



 前泊がジュネーブの場合はインターラーケンでの宿泊が普通ですが、力が残っていたら更に山懐まで上がり、グリンデルヴァルトか静かなラウターブルンネンあるいはそのひと駅のヴェンゲンでの宿泊をお勧めします。グリンデルヴァルトには日本語観光案内所があります。ラウターブルンネンからはユングフラウヨッホのほかシルトホルン方面へも行けます。

ラウターブルンネンからヴェンゲンに向かう登山鉄道の車窓↑ ミューレンから↓

 これらに滞在するほとんどの観光客はクライネシャイデックで乗り換えユングフラウヨッホへと登山電車を乗り継いでいきます。途中のクライネシャイデックは大きく開けた高原状の地形でハイキングにもってこいの散策路がたくさんあります。ここからグリンデルヴァルトやヴェンゲンなどへも徒歩で降りていくことが出来ます。駅前には大きなレストランを併設したホテルがあり、列車が到着するとアルペンホルンの生演奏で旅人を迎えてくれます。昼に到着した場合はこのレストランで一休みするのもいいでしょう。このアルペンホルンの演奏者の横にはレストランの日替わりメニューが立てられており演奏は実はレストランの宣伝のためのものです。



 ここからユングフラウヨッホまでは電車を乗り換えます。アイガー北壁をくり貫いたトンネル内には駅も作られ停車時間中に絶壁から麓のグリンデルヴァルトの街を見ることが出来ます。終点のユングフラウヨッホ駅は鉄道ではヨーロッパ最高地点の駅で展望台(トップオブヨーロッパ)、レストラン、郵便局などがあります。レストランからは氷河が目前に迫るなか暖かな食事やお茶を楽しむことが出来ます。付近では犬ぞりや夏スキーも楽しめます。









ルツェルン(スイス発祥の地)
 ヨーロッパ最高地点を満喫したら日本人の大好きところで締めくくりましょう。フィーアヴァルトシュテッテ湖のほとりに発達したスイス発祥の街ルツエルンへ行きます。インターラーケンへ下りオスト(東)駅からナローゲージのパノラマ列車でルツエルンへ行くことが出来ます。この路線も実はゴールデンパスの延長でモントルー・インターラーケン間ほど認知されていませんがその名が付いています。発車してしばらくはブリエンツ湖畔を走ります。すぐ停車するのがブリエンツ駅でここからロートホーン登山鉄道に乗換えが出来ます。この登山鉄道にはSLを使った編成があり、急傾斜を上るため形を斜めに切ったSLが牽引するユニークな列車が人気です。この車内からは麓の湖(トューン湖とブリエンツ湖)のほかベルナーオーバーラントの山々も見渡せます。日本からのツアーにはよく使われます。

 ルツエルンへの列車はインターラーケンオスト駅からおよそ40分でメイリンゲン駅に到着しここで方向を変え、山の中へ入っていきます。途中停まる駅は小さな駅ばかりで長閑な雰囲気です。やがて終点のルツエルンに近いところアルプナハドルフで比較的多くの乗客が降りるとほどなくルツエルン駅のドームの中にすべり込みます。ルツエルンは大きな駅で街もさぞかし都会だろうと思いきや、風光明媚な山岳リゾートです。駅前にある湖はフィーアバルトシュテッテ湖といい日本語を当てはめると四つの森の州の湖となります。この湖は大きくスイス建国の4つの州に囲まれておりウイリアムテル伝説の舞台でもあります。

 ルツエルンの滞在では趣のある旧市街の散策や湖の向こう側にある奇妙な形をしたピラトウス山へのエクスカーションが一般的です。ピラトウス山へは明日登るとして本日はこの風光明媚な街の散策に当てましょう。駅の規模からは想像できないほど小さな町で散策にはもってこいの大きさです。 人口6万足らずの街に世界中から多くの観光客が訪れるため、街中はいつも賑わっています。日本からの観光客も多く、シーズンのオン、オフを問わずかならず出会います。お勧めの訪問時期は5月で地元ではシーズンオフのため半分くらいのホテルは休業しておりますがやや静かな街を楽しめます。

 翌日はいよいよピラトウス山へのエクスカーションです。ルツエルン駅からローカル列車に乗りおよそ20分ほどでアルプナハシュタットに降り立ちます。実は昨日通過した駅です。駅前にはピラトウス登山鉄道が走っています。急斜面を赤いケーブルカー状の車両が山頂へと導いてくれます。この登山鉄道は世界で二番目に開通した登山鉄道で、隣に聳えるリギ山への登山鉄道に次いで古く、その勾配は一番きつい所で48%と世界で一番の急勾配です。ピラトウス山は魔の山と呼ばれ、キリストを処刑したポンテイス・ピラトウスの亡霊が彷徨う山としてかつては恐れられていた山ですが、その山容から人気があり当地を訪れた観光客の多くの方が登ります。また、アプローチは上記のほか、ルツエルンの街外れにあるクリエンスからロープウエイでも行くことが出来ます。往復でコースを変えれば両方楽しめます。ルツエルンで周遊チケットを購入できます。山頂からの景色は美しくルツエルンの街やフィーアバルトシュテッテ湖、その周りの州、および遠くアルプスの山々が見渡せます。


ピラトウス山頂からの景色です。↑ルツエルン方面、↓登山鉄道とアルプス。

 以上スイスアルプスの定番をお知らせしてきましたが、このほかにも是非訪れていただきたいところが沢山あります。また、スイスには温泉都市が沢山あります。日本の温泉とは様相が異なり水着を着用して入るクアハウス的な施設ですが、お好みより組み合わせることをお勧めいたします。

 ルツエルンから帰国する場合は列車で1時間ほどでチュリッヒ空港へ出られます。また、ドイツの主要都市やフランスのパリ方面へも列車で簡単に行くことが出来ます。